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2002 02,27 00:00 |
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+++ 今日は朝から騒がしいです 帝が登校して下駄箱を開けるといくつか入っていましたし、教室に着いて引き出しを開けてもいくつか入ってました さっと中を確認して、呼び出しが何枚あるかと、指定された場所や時刻を確認してすぐにしまいました もう慣れっこだが、やはり高校でもあるんだな、こういうのが…… 朝のホームルーム時、バタバタとものすごい数の足音と黄色い声を引き連れて担任の釈先生が入ってきます「はぁい、みんな、席に着いてね。他のクラスの子たちも、教室に戻りなさい。君たちは、お小遣いで暮らしているんでしょう? お昼ご飯の分まで使っちゃだめだからね。私はみんなのこと、平等にかわいいと思ってるよ」 「それと、学級委員のふたり、今日ばかりはお菓子の持ち込み、多目に見てあげてね」私にだけじゃなくて、みんな渡したい相手がいるでしょう? 釈先生はお茶目にウィンクしました 「ありがとうございます、釈先生!」梵は即答です 「えっ、しかし、あぁ……」帝は困惑しました 俺はもともとそのつもりだが、普段、梵はあれだけ俺をつついてくるのに…… 「帝、先生を困らせるな。素直に『はい』と言えばいいのだ」梵に突っ込まれてちょっと寂しくなった帝でした 一応恋人なんだけどな…… けれども学校で冷たいのはいつものことです 帝はめげませんでした 「いいんだよ、帝。上の言うことを何でもハイハイと聞いているだけでは、立派な大人になれないからね。自分の考えを持つのは善いことだ」「あ、ありがとうございます……」梵はむくれてました なんかごめんな、梵…… 昼休み、帝は梵にしめられてました「貴様! あれはどういうことだ!」「いや、だって……」お前はいつも、俺の団子としるこに良い顔をしないだろう 俺はあれを、菓子としてではなく、弁当水筒として携行しているというのに「甘党めぇ……!」 「蓮と茉莉、またやってるよ……」クラスメイトはひそひそと噂しますが、それでもみな気付いてました 最近、茉莉が言い返すようになったということに「やっぱりさ、年明けてから、あのふたり何か雰囲気変わったよね」女の勘を甘く見てはいけません 「ふう……」ようやく開放された帝はスマホで連絡を送りました 「帝釈天茉莉:今日は華道部あるんだろ? 帰りにうちに寄ってくれたら、お前の分渡せるから」実はしっかり用意している帝ちゃんでした 「Renren:ありがとう、部活後にお邪魔します 帝ちゃんだいすきよ」即レスです くっ、かわいい…… なんでこんなことも直接言わせてもらえないんだろうな…… ていうかこのタイミングで謝らない梵大丈夫? 休む間もなく廊下から呼び出しがかかります 剣道部の中等部の子たちが集まってきていました ひなもいます「いつもお世話になっているお礼です!」「おいおい、先輩のいるクラス全部回ってるのか? 大変だろう」偶然、自分の学年は剣道部員が2クラスにまとまっていますが、健気な後輩たちです 見送って席に着くと、包装のリボンに手紙が挟まっています 茉莉先輩へ 寄せ書きか まったく、ハロウィン以上のお祭りだなこれは…… そんなこんなで放課後になり、今日部活のない帝は何件か呼び出されて回ってました 呼び出しというのは厄介です 帝の場合はたいてい告白されます 付き合ってくれなくていいから気持ちだけ知ってほしかったとかもあります むしろそういう断りようのない要求のほうが困るんだが…… 相手を傷つけないように、怒らせないように、修や梵の存在に気付かれないように、慎重に丁重にお断りして校門を出たのはもう17時すぎでした 帝、お疲れ…… 帰ると先に修が遊びに来てました「お帰り。今年も大変だったんだな」修はニヤニヤしてます まったく…… 「おばさんと一緒にやった。用意できてるぞ」「ありがたい」恒例の、帝ママお手製チョコレートケーキと、修お手製アップルパイがダイニングテーブルに並んでました「うまいんだよなぁ、両方とも」修は料理上手です 休日は昼食を作りますし、アーシャのためにお菓子作りも覚えました 「今年は何人くらい断ってきたんだ?」「まぁ例年に比べれば少なかった」「それは『もう居る奴』が多いってことかねぇ」「さぁ? あと、お前との関係に言及されることがなくて、なんだか新鮮だった」家着に着替えてくつろいで、梵の来訪を待ちます 「「「釈先生! 私たちの気持ち、受け取ってください!!!」」」 「わあ、今年もありがとう」華道部では部員一同が顧問の釈先生を敬愛しているので、抜け駆け禁止の部則があります 部室の至るところに各々の思いを込めた花が活けられ、飾られ、隣室の茶道部から借りた皿の上には、チョコやたいやきに関する手作り菓子が並びます 「みんな、空間の捉え方がどんどん上手になっているねぇ!」室内に足を踏み入れて、ひとつひとつの作品を丁寧に褒めていきます 畳の中央に鎮座する巨大たいやきにもご満悦です「うふふ、これ毎回笑っちゃう。本物の鯛みたいだよね」 全長と大高はA4用紙サイズくらい、厚みは数センチもあるのです いつも誰かの自宅で作られているのでしょう ご丁寧に縁が焦がされてカリカリになっており、そこがまた美味しいのでした 花の香りに包まれながら、みんなでお菓子を分け合って食べるのです「来月、ちゃんとお返しするから楽しみに待っててね」釈先生が、えへへ、と首を傾けて笑って今日は解散です 部室内には黄色い声と大勢のすすり泣きが響き渡っていました みんな先生のこと好きすぎでしょ 再来月の先生の誕生日会なんてどうなっちゃうの……? 梵もぽんぽんとハンドタオルで涙を拭きながら、帝ちゃんちに到着しました ピンポーン 「どうした梵? 泣いてるのか?」「今日の部活、とっても素敵な会だったの……」「そうか」深くは聞かずに上着とマフラーを預かって、リビングに通します 「修ちゃんも来てたのね!」「俺からも、梵ちゃんにバレンタインプレゼントだぜ」よかった~、念のため修ちゃんの分もチョコ持ち歩いておいて…… ほっとした梵ちゃんでした 「これ修ちゃんが焼いたの? すごい! すごい!!」帝ママが料理上手なのは、夏にお腹に載せられたゼリーの件で知っていましたが、まさか自分と同じ高校生の修ちゃんが料理上手だとは思いもよりませんでした「妹がリンゴが好きでな」 赤ん坊の頃からずっと面倒を見てきた修は、リンゴを特に好むアーシャのために、お菓子の中でもリンゴをふんだんに使ったこれを、小学生の頃から作っているのです「修と付き合っていると、この美味いのが毎年食べられる」「和菓子派のお前も喜んで食べるもんな。作り甲斐があるぜ」 舌の肥えてるお前には大したことない味かもしれないが、余ってもしょうがないんで人助けとでも思って食べてくれ、修はそう言って、梵にも一切れ勧めました ふみゅ…… 考え込みながら咀嚼する梵ちゃんかわいい「お、おいしい……、え、これ、普通に売れるんじゃない?」うちの地下一階、空きそうなテナントあったっけ……? 瞬時に頭の中でそろばんを弾きはじめる梵ちゃんでした 「こちらもどうぞ」今度は帝ママがあったかいチョコレートケーキをよそってくれました 黒くて照りのあるソースに、スポンジ部分はふあふあのとろとろです おいしーい……! 「いつも仲良くしてくれてありがとう。さっきもね、今日蓮ちゃんに叱られちゃった、って話してたのよ。蓮ちゃんは納得行かないことでも言うこと聞けて偉いんだ、って」 でもみんなの前で恥をかかせてしまって悪いことをした、って ごめんなさいね……「おい、母さん!」「だって、あんたがここで蘭に話してたこと母さんにも丸聞こえだったわよ?」修はため息ついて3人を見てました 帝ママが梵ちゃんに謝ると、梵ちゃんのすみれのお目目からじわっと涙が出てきました「ご、ごめんなさい……」テーブルクロスにぽたぽたと落ちそうになる涙を、フォークを置いて、慌ててハンドタオルで受け止めます「私、またやっちゃった……」 帝ちゃんが好きで、ばれたくなくて、釈先生も好きで、困らせたくなくて、いつも正しい答えが出せないわ…… でも見捨てないでくれてる…… んっんっ、ひっひっ……、ごめんね私も直したいの…… 帝ちゃん、許して…… 帝は隣の席から、細っこい背中や頭をいいこいいこしました「梵……、許すもなにも怒ってないし、俺のほうこそ悪かった。だが、ああいうのが続くと互いに居づらくなるから……、もう少し優しく教えてくれるとうれしい……」 修は黙って見ていました こいつら俺の前では素直に見えるんだが、学校では未だにうまくいってないんだな…… 一足先に帰ることにして、梵にメッセージを送っておきました「蘭:さっきはチョコありがと 帝のことで困ったら、いつでも連絡してきな」 麻を寝かしつけたあとベッドに寝転んで、応援している柔道選手のブログを読んだりしながらしばらく時間を潰していましたが、蓮から連絡が来る気配はありませんでした あのあとどうなったのかねぇ あいにく明日は帝の朝練がないので一緒に登校しません ま、なんかあればどっちかから連絡来るだろと割り切って、修ちゃんは寝ました 翌朝、帝が教室で数名のクラスメイトとおしゃべりしていると、梵がズンズンと近づいてきました 教室内に緊張が走りますが、梵は構わず帝に話しかけます「あ、あの、帝……さん、ごきげんよう」……?! 蓮が茉莉にさん付けしてる?!「おはよう。どうした、梵」いや……でも、茉莉の様子はいつも通りです「昨日は……、いえ、昨日だけじゃなくて、今まで、その……、必要以上にきつく当たってしまうことが多くて、ごめんなさい…………」 教室が静まりかえってしまっています みんなが梵のことを見ている気がします 気まずい~! でもこれは、みんなの前で言わなきゃだめだと思いました ものすごくバクバクしながら帝の反応を待ちます 帝は……、焼芋みたいなあったかい笑顔をくれました 梵をぎゅっとハグしてから、梵の背中をトントンと軽く叩いてくれました「いつも気に掛けてくれてありがとう。こちらこそ、お前の心配を汲み取れないことが多くてすまなかった。これからは、気をつける」 梵はとっても恥ずかしかったですが、こういうときは自分から先に目を逸らしてはいけないと思って、帝の顔をじっと見てました クラスのみんなは息を飲んでいます ふたりとも、どうしたの……? みんなは、様子がおかしいのは蓮だけで茉莉はいつもどおりかと思いましたが、茉莉の様子もいつもと違うことに気付きました 茉莉は今まで、蓮とだけは距離を置いていて、他のみんなとはハグする場面でも、蓮とはハイタッチだけで済ませたりしていたと思います 確かに最近は、前ほど遠慮がなくなってきていた気がするけれど、え、何……? 帝は梵と目を合わせて頷くと、梵の背側に回って、みんなのほうに向き直って言います 「俺たち和解したんだ。今まで俺たちの仲がまずいせいで、クラスのみんなに気を遣わせてしまったことも多かったろう。本当にすまなかった。これからは俺たちのことを気にせずに頼む。年度末まであと少しだが、これからもよろしくな」 ええ?! わあ、そうなんだ……! よかったね! ていうかケンカだったの? クラスメイトはめいめいに反応しました クールな蓮があんな顔するんだ 茉莉にだけ当たりきつかったもんね もしかして昨日コクったのかな って言ってる子もいました 色んな声が蓮の耳に入ってきましたが、どれも素直に受け止めないといけないなと蓮は反省しました 「みんな、おはよう~」釈先生が教室に入ってきます 立っていた子たちはいそいそと自分の席に戻っていきます 先生は、最前列の梵の座席が空いていることに「あれ?」と思いました 欠席の連絡は受けていないし、あの子は必ず座って本を読んでいるのですが……ああ、見つけました 教室の後ろから、慎ましげな表情で帝と言葉を交わし、戻ってくる最中です 珍しいこともあるものだね…… +++ 昨晩は、修が帰ったあとも二人+帝ママでしばらく話し合いました 友人宅で友人のママから遠回しに注意されて超怖かった梵ちゃんですけど自分が悪いですし直したい気持ちはあったので、まずはもう一度謝りました そして、今までどういうところで躓いて直せなかったのか、素直に打ち明けました 帝も、帝ママも、親身になって話を聞いてくれました その結果、翌朝みんなの前でああすることに決めたのです 夜遅くなったので、帝ママが家の近くまで送り届けてくれました 結局ふたりが付き合っていることまでは、帝ママには言いませんでした だって、それは帝ちゃんが自分のタイミングで伝えるべきことだからです 梵の都合でその時期を変えていいとは思えませんでした ちなみに、途中で帝パパが帰宅したのでご挨拶しましたが、梵が帰ってから「まさか茉莉が、マルボン百貨店のご息女とクラスメイトだったとは……」と告げられました え、梵の親父さんデパートの社長さんなのか?! なるほど…… 色々納得した帝でした 梵は帰宅が遅くなったことをママに謝ります でも、梵ママは帝との関係を知っているので、夜遅くなったこと、学校で言い争いになったこと、どちらに対しても叱られませんでした 母子ふたり、静かなリビングでハーブティーを飲みながら、「蓮。茉莉さんは素敵な人だわ。だからあなたも『いい』と思ったんでしょう? 友人が学業や人生の妨げになるという、あなたの言い分は極端だということを、これで認める気になれたかしら?」ああ~ 違うことで叱られてました 冷静に考えて、帝が特別素敵な人というわけではないかもしれません きっと梵が親しくする気がなかっただけで、周囲に良い子はたくさん居るはずです でも、まずは、すでに親しい帝との関係を修復したいし、長らく巻き込んできたクラスメイトたちに謝りたいです 修にもお世話になりました 朝になったらすぐ送信できるようお返事を打ってから、送る一歩手前で画面を閉じて、今夜は寝ました ++++++ 梵が学校で感じ悪いことについて、クラスメイトから 茉莉はたぶんずっと前から「ねぇ、なんで蓮に嫌われてんの?」的なことを 色々言われていて、正直だいぶ困っていたと思います でも、出会った頃に「あまり人と親しくしていると思われると困る」と 頼まれていたことについて、どこまで突っ込んで触れてよいものかわからず、 半年以上放置した結果がこれなんでしょうね これからはもう、お家に遊びに行くときわざわざ別々に下校しなくても いいんじゃないかな…… 一方、今回の件で一部の子は 「冷たいのは実は蓮の照れ隠しで、昨日のバレンタインでどちらかがコクったんじゃないか」と 勘ぐってそうです その中に、昨日茉莉に告白した子がいないといいですね それから、今回地味に判明した事実として 梵が友人をつくらなかったのは親御さんや周囲から何か言われたからでなく、 自分の考えからだったということが挙げられます 梵ママはけっこう厳しいところがあるので、 わが子の考えの誤りを無理やり正そうとすることはせず、 思ったとおりにやらせて自分で気づくまで見守っていたのでした 意地悪に見えるかもしれませんけど、 子どものうちに、できるだけ早く痛い目に遭っておいたほうがよい 親がしてよいのは子どもの先回りではなく、振り返ったときそばにいてあげること と思っています 梵パパも、勉強と身だしなみだけは早いうちから徹底させていますが、 けっこうリベラルな雰囲気のある人物です 梵パパの登場はもうちょっとあとになります そして帝パパは地味に初登場だったかもしれません 帝パパは物静かなひとです 思ったことをすぐに口に出さないところなどが帝ちゃんと似てます PR |
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