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2014 05,07 00:00 |
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+++ 「ビショップ、出掛けてくる」そう言って側近の肩に軽く触れ、管理官室を後にしようとすると、呼び止められ彼の襟元を指差されたが歩を止めることはせず、安心するようすれ違いざまに視線だけ遣って、颯爽と部屋を後にした。彼が気にしたのは僕の白いジャケットの首回りで光っているはずの、ベルトが今日は見えなかったからだろう。先程潔く引き抜いたのだ。だって、先日、あの子がバックルで物騒なパスルを思いついてしまったから。 ------ 僕はその寝顔に微笑んで、音もなく、顔を近づけた。ベルトを通した金のバックルを、そっと持たせる。僕はゆっくりと、身体を離していく。赤ん坊特有の把握反射の力を借りて、喉頭隆起、そして軌道を狭めていく。けれども、全体重をかけて引かれたところで10kgにも満たないその重量では、到底意識を手放せなかった。「こんなに小さな君ですら、僕を永遠にはしてくれない」優しいね、カイトも君も。僕は無意識に呟いていた。ノノハが風呂から上がるまでの間、たったの十数分のはずだったのに、気付くと陽の光が射していて、背も腹も、感じたことのないほどに温かかった。布団をかけていないにも関わらず、だ。……おかしい。とにかく、今は一体何時で、首を巡らすと、首許が生暖かくなり、くぐもった人間のうめき声がした。「ルーク……、起きたのか……」そうか、この温かさは。 ------ 「ねえ、ルークおじさん」「何だい」「ぼくとパパ、どっちがもっと好き?」僕は、困った。経験のないなりに精いっぱいの思いつきで、「そういうことはママに訊いてくれる」と、それでもややきつめの口調になってしまった。幸い、あまり気にしない性格なのか、「ママー、ルークは僕とパパどっちがもっといっぱい好きなの?」と。こちらの意図を汲み取れなかったようで、しかしノノハには理解されていて、「あのね、マサト、ルーク君がお願いしたのはそういうことじゃないと思うのよ」と申し訳なさそうに苦笑しながら台布巾でテーブルを拭いていた。カイトは物言いたげに視線を送ってきたけれど、その場で口が開かれることは結局なかった。 PR |
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